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「ひとりぼっちを笑うな」から学ぶ蛭子流内向的人間の生き方とは

 2018/06/22 書評
 

漫画家の(漫画家のイメージは薄いですが)蛭子能収さんは、圧倒的な個性とのほほんとしたキャラクターで人気です。

人見知りから見ると蛭子さんも恐らく「内向的人間」なんだろうなぁというオーラは感じますよね。

そんな蛭子さんの著書「ひとりぼっちを笑うな」には、人見知りや内向的な人がラクに生きられるかもしれないヒントがたくさんありました。

人見知りの参考になりそうなところを紹介します。

内向的を認めよう、でもネガティブにはなるな

内向的な人や人見知りの人というのは、往々にして「それが悪いこと」「できれば治したほうがいいこと」と考えがちです。

しかし、蛭子さんはそれが良くないことだとは捉えていませんし、できれば外向的になりたいなど微塵も思ってないのです。

「ひとりでいること」のよさについて、みんなにもっと知ってもらいたい。友だちなんていなくていい。ひとりぼっちだっていいんじゃないかな。「ひとりぼっちを笑うな(著:蛭子能収)」より

むしろ、「ひとりが心地いい」「ひとりのほうが楽しいよ」という前向きな考え方を持っています。

これは著書の中で一貫してブレない主張であり、このブレない考え方が一般的な内向的な人や人見知りの人と圧倒的に違うところです。

内向的な人や人見知りの人は、外向的な人を見て、自分と比較し「あんな風になれたらなぁ」なんて思うことが多々ありますが、本当にそうなりたいんでしょうか?

世間的にコミュニケーション能力が高いほうが良いとされているから、「外向的なほうが良い」「外向的になるべきだ」と自分自身に言い聞かせている節があるのではないでしょうか。

そうすると「自分は外向的ではない」と落ち込んだり、凹んだりして益々自分の殻に閉じこもってしまうという悪循環に陥ってしまいます。

まずは、内向的な自分を認めて「それでいいじゃん」と思うことから始めてみましょう。

友達かどうかにこだわらない

蛭子さんは友達はいなくていいと断言しています。

誘いを断れないような存在を「友だち」と呼ぶのなら、僕は「友だち」なんていらないという考えです。「ひとりぼっちを笑うな(著:蛭子能収)」より

友達に遊びに誘われた場合、そんなに行きたくないと思っても「断るのは悪い」「断って嫌われたらどうしよう」ということを考えて、自分の主張を押し殺して誘いに乗ることってありますよね。

蛭子さんは「気を遣わずに何でも言い合える」のが友達のはずだけど、それがグループになると無言の圧力というか「他の人と違うことをしたくない」という心理が働いて自分の思っていることができなくなり、それはただ「群れている」だけだということです。

ただし、蛭子さんはだからひとりぼっちでいいとは言っていません。

そうやって限られた目的(同じ趣味など)を持ったグループは素敵ですよ。同じ趣味を持った人と話すことは、やっぱり楽しいですからね。(中略)会社の人とか普段毎日会っているような人たちとは別に、そういう趣味のグループのひとつやふたつくらい持っていたほうが、なにかとすごしやすいような気がします。「ひとりぼっちを笑うな(著:蛭子能収)」より

え?それって友達では?

と思ってしまうかもしれませんが、蛭子さんは同じ趣味の人と趣味について話すことはあっても、プライベートのことを話したり、趣味以外のことを一緒にすることはないんです。蛭子さんの趣味である競艇で言えば、競艇場で現地集合して一緒に競艇を楽しむが、終わったら現地解散するといった具合です。

これはよくわかりますね。昔、フットサルのグループに入ったんですが、フットサルをしているときはとても楽しいんですが、終わって懇親会になると途端に(自分だけ)つまらなくなる(ぼっちになる)ということがありました。

無理に友達付き合いせずに、自分が楽しめる瞬間にだけ立ち会えればそれでいいんですよね。

ボールは友達

外向的な人を妬まない

私なんかは人見知りで卑屈な人間なので、外向的な人間を見るとうらやましくなると同時に「世渡り上手だけで生きてるな」と妬むこともあるんですが、蛭子さんは違います。

ひとりぼっちでいることが多いので、そういうタイミングで僕に 些細 なことを話しかけてくれるのは、ちょっと嬉しかったりします。(中略)タイミングみたいなものを読む力がある外向的な人間は素晴らしい人だと思いますし、内向的な人間の大きな味方になり得る存在です。「ひとりぼっちを笑うな(著:蛭子能収)」より

こういうシーンありますよね。そんな時私は「俺がぼっちだから哀れんでるのか?」なんて邪推してしまうんですが、実は外向的な人はみんなが楽しんでいるかどうかに気を回せるんですよね。

だから、内向的な人は外向的な人になろうとするのではなく、外向的な人を味方につけるという発想で立ち回るというのが正解のようです。

自分から話せないなら隙を見せる

人見知りの悩みの一つに「自分から話しかけられない」というものがあります。蛭子さんも同じタイプのようですが、それを打開する方法を身につけています。

蛭子さんもいい年齢なのに、ヘラヘラしすぎじゃないか?」とか「意味もなく笑いすぎだよ!」なんて、よく怒られることがあります。でも、じつはそれにはちょっと意図的なところもあるんですよ。(中略)ニコニコ笑っていれば、みんないろんなことを言いやすくなるじゃないですか。言うまでもなく、ムッとしているよりは言いやすいですよね。(中略)ダイレクトに意見を聞くこともできない内向的な人間だから、そのために、自分から言いやすい雰囲気に持っていくしかないんですよ。「ひとりぼっちを笑うな(著:蛭子能収)」より

人見知りの人は大勢いる中でぼっちになることも多々ありますが、その時に決まって周りからむすっとしたように見えているんですよね。

そうすると周りから「近づきがたい」「話しかけにくい」と余計に思われてしまうということがあるので、いつもニコニコというのは有効な手ではあると思います。

ただ、普通の人はここでプライドが邪魔するんですよね。ぼっちになってるにも関わらず「自分は疎外されるような人間ではない」「疎外する周りが悪い」のような思考に陥ってしまいます。

差別しないようにすることは自分の意志でなんとかなるけれど、差別されることは自分の意志ではどうにもなりません。だから、基本的に「自分は差別される側である」と、最初から考えるようにしているんです。(中略)自分を低目、低目に見積もっておくんです。「このクラスのなかでは、俺が一番頭が悪い」「このグループに入ったら、俺が一番顔が悪い」とか、そこにいる人たちのなかで、自分が一番能力的に劣っていると設定するんです。「ひとりぼっちを笑うな(著:蛭子能収)」より

蛭子さんがすごいのは、先に書いたように「内向的は認めてもそれを悪いとは思わない」と同時に「自分を過小評価する」を矛盾なく持っていられることなんです。

人見知りや内向的な人は、自分を過小評価するからこそ「周りにつまらない奴と思われたくない」となり、緊張したり不安になったりするのですが、蛭子さんは自分を過小評価しつつも、それを周りからどう見られるかは一切気にしていないんです。悪く言えばプライドが全くないんですよね。

これは蛭子さん以外にはできない技かもしれませんが、これができたら気持ちはラクになりますね。

いつもニコニコ

ひとりぼっちは一人ではできない

蛭子さんは一貫して「友達はいらない」「ひとりぼっちでいい」と言っているのですが、「愛する人」は必要だと説いています。

妻を亡くしてから痛いほどわかりましたけど、なにも遠慮せずに話し合える相手がいるのは、とても素晴らしいことです。夜、一緒に寝る人がいて──肌が触れ合うだけでも、安心します。そういう人がそばにいるからこそ、僕は僕のままであり続けることができる。そのことに、ようやく気づいてきました。(中略)矛盾した話に思えるかもしれないけれど、愛する人がそばにいるからこそ、僕は安心してひとりぼっちでいられるんです。「ひとりぼっちを笑うな(著:蛭子能収)」より

蛭子さんは血がつながっている自分の子供にもあまり深く関わりません(もちろん大事だとは思っていますが)。子供と言えども気持ちは通じ合えないという考えです。しかし、血のつながっていない、言わば他人である妻の存在はとても大きいと考えています。

愛する人、気持ちが通じ合える人ががたった一人いるだけで安心できるし、ひとりぼっちを楽しめるというのです。

私たちはどうしても友達の数、人脈の大小で自分の価値を決めてしまいがちですが、それは結局「周りからどう思われたいか」「すごい人と評価されたい」ということでしかないということです。

蛭子さんが変わった人と言われるのは「周りからの評価」より「自分の主義・主張」をとても大事にしているからと言えます。周りから変わった人と思われたとしても「自分のやりたいようにやる」というブレない信念が魅力となり憎めない存在になっているのではないでしょうか。

ひとりぼっちが嫌だと感じている人は一度「ひとりぼっちを笑うな」を読んでみてください。

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うちむー

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人見知り歴30余年の「うちむー」と申します。人見知りって自称する人は多いですが、人見知り度はそれこそ千差万別です。私は超が付くほど人見知りですが、治そうと思ったり、これでいいやと思ったりの繰り返しです。同じ悩みを持つ人と人見知り感覚を共有できればと思っています。

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